アウトサイダー
父から逃げたあの時から、ずっとお金には苦労してきた。
お金のない辛さも知っている。
お金がなくて諦めたことだって、数えきれないほどある。
だけど、そんなことより大切なものがあることだって……。
「くそ! 俺を裏切るなんて」
彼はもう一度私に手をあげた。
「こんなことなら、仕事なんてさせるんじゃなかった。
なぁ、もう一度やり直そう、紗知。
やり直すって言ってくれ!」
私の胸倉をつかんだまま、激しく責め寄る彼に、なにも言えない。
「私、もう……」
私は泣きながら彼の言葉に首を振った。
ここまで導いてくれた永沢さんに報いたい。