アウトサイダー
ずっとそうだった。
母は私のために父の暴力に耐え続けてくれた。
そして、身を粉にして働きながら、私を育ててくれた。
母の人生は、私の犠牲になったのだ。
それなのに……。
すぐに戻ってきた永沢さんが、トランクに積まれていた荷物を降ろして、私の手を取る。
「とりあえず、俺の部屋にあったもの。
後は当面これでそろえて」
「えっ……そんな……」
私の手には何枚もの一万円札が。
「一応売れっ子建築士をしてるんだ。心配するな」
彬さんの部屋に置いてあった貯金通帳なんてとても持ち出せなかった私には、とてもありがたい申し出だ。