アウトサイダー
「ごめんね。お母さんがもっと早くに気が付けばよかった」
「そんなことない。助けてくれて、ありがとう」
「うん。紗知は辛い思いをしたけど、これでよかったんじゃないかって思ってる。
そうでなければあなたは、一生我慢しないといけなかったかもしれないの」
母は苦労してきたから、結婚に踏み切った後の怖さを知っているのだろう。
離婚が簡単ではないことを。
「嘘がばれる前に、明日にでも本物の不受理申出書を出しに行きましょう。
とりあえずそれで、勝手な結婚は妨げられる」
母は顔をあげてきっぱりとそう言った。
その顔は、あの時――父から逃げた時のように、強い母の顔だった。