アウトサイダー

「あなたは自分のできることはやったわ。
結果的に千島くんを傷つけたのは、心から謝るしかない。
だけど、どんな場合でも暴力で支配するのは許されない。
そんな人にあなたを嫁がせるつもりはない」


母は私の頬に手を伸ばして、唇の傷をそっと撫でる。


「紗知、ごめんね。
あなたをもっと幸せにしてやりたかったのに、きっとお母さんのせいね」


痛い。
唇ではなくて、胸の傷が。



ずっと背負ってきた「アウトサイダー」という立場。
そして、その苦しみを本当に理解してくれる人は少ない。

だけど、世界にたったひとりだったとしても理解者がいれば、きっとこの先生きていける――。


母にとってそれがコウさんで、私は……。


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