アウトサイダー
「ありがとう。篠川くんに任せるよ。
だけど、必要になったらいつでも呼んでくれ。俺は紗知の父親だ」
「コウさん……」
父親……。
私がこの世で一番恐れているその存在を、コウさんが変えてくれた。
母がコウさんの前だと顔が緩むのがわかる。
太陽の言った通り、母はコウさんの隣がいるべき場所なのだ。
「紗知……もし……」
帰り際、振り返ってなにかを口にしようとした母をコウさんが止める。
「大丈夫だよ。紗知の選んだ人がここにいるじゃないか」
コウさんのそんな言葉に、太陽は頭を下げる。
「お父さん……」
この言葉を口にしたのはいつ以来だろう。
コウさんのことをそう呼べたのは、初めてだった。
だけど、どうしても言いたかった。
コウさんは確かに私の父なんだ。
「紗知、ありがとう」
震える声でそういったコウさんは、母の肩を抱いて帰って行った。