アウトサイダー

「紗知、ありがとう。
こんな俺の子かもしれないのに、産んでくれて」


そういったときの彬さんは、出会った時のように優しい顔をしていた。


首を小さく振って、そっと涙を拭う。
すると、彼は再び口を開いた。


「写真でいいんだ」

「えっ?」

「時々子供の写真を見せてくれないだろうか」


そんな彼の言葉に目を見開く。


「紗知と篠川さんの子だ。
だから会えなくてもいい。だけど、せめて……」


彼の思いがけない言葉に胸が痛む。
ずっと彬さんに持っていた負の感情が、この瞬間、ゆっくり別の方向を向きだした。





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