光の花は風に吹かれて
――側室と王女たちのみ出入りを許されている庭で、ローズは毎日のように泣いていた。
自分の暮らす世界が窮屈な場所だということは理解していたし、それでも良いと思っていた。与えられた世界でどう生きていくか、ルールの中に見出す自由。それだけでも恵まれているのだと……
多かれ少なかれ、人々は誰もがそうしている。ローズが王女で、その制限が少しばかりきついだけで。
だから……愛せると思った。
父が、母が、ローズを愛してくれるように。
最初は“与えられた”ものでも、そのうちそれがローズのもの、そして夫のものとなるのだと――信じていた。
それが簡単に壊れるものなのだと知ったとき、涙が止まらなくなって……我慢することも忘れて泣いた。
そうしているうちに、もう1つの真実を知った。
ローズは最初から“人形”だったのだと。
世界が壊れたのではない。人形が壊れただけなのだ。
利用価値のなくなったローズには声を掛けることすら時間の無駄だと言うかのように、誰もローズを見なくなった。
夫も、父も、簡単にローズを捨てた。
「可哀相に……花を見る目がない方のもとへ、嫁がれたのですね――…」
自分の暮らす世界が窮屈な場所だということは理解していたし、それでも良いと思っていた。与えられた世界でどう生きていくか、ルールの中に見出す自由。それだけでも恵まれているのだと……
多かれ少なかれ、人々は誰もがそうしている。ローズが王女で、その制限が少しばかりきついだけで。
だから……愛せると思った。
父が、母が、ローズを愛してくれるように。
最初は“与えられた”ものでも、そのうちそれがローズのもの、そして夫のものとなるのだと――信じていた。
それが簡単に壊れるものなのだと知ったとき、涙が止まらなくなって……我慢することも忘れて泣いた。
そうしているうちに、もう1つの真実を知った。
ローズは最初から“人形”だったのだと。
世界が壊れたのではない。人形が壊れただけなのだ。
利用価値のなくなったローズには声を掛けることすら時間の無駄だと言うかのように、誰もローズを見なくなった。
夫も、父も、簡単にローズを捨てた。
「可哀相に……花を見る目がない方のもとへ、嫁がれたのですね――…」