光の花は風に吹かれて
そもそも押しかけてきたのはローズの方で、更に言えば自分にはもはや利用価値などない。

ローズは子を産めない身体らしい。

3年の結婚生活はローズに悲しい事実ばかりを突きつけた。夫はなかなか身ごもらないローズに苛立ち、乱暴するようになった。

本当にただ……彼を受け入れさせられるだけの毎日。

「――っ」

ローズはこみ上げてきた吐き気にベッドの中でうずくまった。

荒々しく自分を抱く夫――愛という言葉とは程遠いその行為が嫌いだった。ローズを縛り付けるようにベッドへと押し倒し、夫は言った。

サッサと王家の血を分けろ、と。

「ぅっ……」

――闇属性、お前の価値はその子供を増やすことにしかないだろう。

――俺の子供を身ごもれないと言うのか。

――床の作法すらままならんくせに子供すら孕めないなどふざけるのもいい加減にしろ!

数え切れないほどの言葉の棘を投げられても、2人の間に子供が出来ることはなくて。

ローズは自分のことで精一杯で気づかなかったけれど、夫には何人も愛人がいたらしい。その女性たちに子供がいるのだとローズが知ったのと時を同じくして、ルミエール王国の軍が屋敷へやってきてローズはルミエール城の後宮へと連れ戻された。

けれど、以前の生活になど戻れるはずがなかった。ローズが城に戻った日、1度だけダミアンへの謁見を許された――ローズが父親に会った最後の日だ。

――お前が役立たずだったなど、王家の恥だ。
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