光の花は風に吹かれて
支度を済ませて部屋を出ると、セストが外で待っていてくれてローズはふふっと笑った。不思議そうに肩眉を少しだけ上げたセスト。

「いつもと逆だと思って……嬉しいです」
「あぁ……」

ふいっとローズから視線を逸らしたセストはそのまま食堂へと歩き始めてしまう。

セストはローズを拒まない。ヴィエントに来たばかりの頃、「迷惑だ」と言われたこともあったけれど……その後、泣いてしまったローズを追いかけてきて歩み寄ってくれた。

でも、だからといって受け入れられているわけではないのだ。縮まらない距離は、セストがローズに踏み込まない分の長さ。

交流会でセストに縋ってしまった後も、先日体調を崩した後も、セストは何も聞いてこないから。

ローズが“聞かないで欲しい”と暗に伝えたのは事実だ。セストがそれを理解できないわけもなく、問い質してこないことは当然。彼は優秀な側近なのだから。

でも、安心と同時に寂しさも感じて。

(聞いて欲しい、なんて……)

矛盾している。

話したくないのに、セストには聞いて欲しい。けれど、自分からは言い出せないからセストにきっかけを作ってもらいたい。

あぁ、自分はいつからこんなにわがままになったのだろう――?
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