金色のネコは海を泳ぐ
「ねぇ、ジュスト。今日……薬、ひとつしか飲んでないよね?」

ルーチェの数え間違いだろうか?

「うん。ルーチェがいっぱい飲んじゃダメって言うから、僕、ご飯のときしか飲んでない。お昼のはルーチェがグラタン食べたら飲むの。ほら、早くあーん」

薬の効果時間は調合ごとに多少前後するけれど、平均して2~3時間だったはずだ。だが、朝食を食べたのは7時半で、今はもう13時前。

「な――むぐっ!?」

驚いて口を開けてしまったルーチェにすかさずスプーンを突っ込んできたのは、もちろんジュスト。

ルーチェはむせて涙目になりながら海老を飲み込んだ。

「けほっ……ちょっと、危ないでしょ」

ずっと待っていたために冷めていたのが救いだった。これで熱かったら舌を火傷したに違いない。

「だって、ルーチェがやっとあーんしたから」

“あーん”ではなく、どちらかというと“ポカーン”だったのだけれど。

「もう……それより、薬だよ。飲んでるのは同じやつだよね?」
「ルーチェしか薬は作れないよ」

そう、そのはずだ。ルーチェしか、ジュストの薬を作る者はいない。ジュストには外部から薬をもらう伝だってない。

でも、それならなぜ5時間近く人間の姿を保つことができているのだろうか。
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