金色のネコは海を泳ぐ
ルーチェは2日後の中間試験のために明日から城下町へ行くことになっている。

中間試験はクラドール協会本部で2日間に分けて行われ、ルーチェのように遠くの町から受験に来る者には宿も用意されるのだ。

2日目の試験は筆記試験で午前中には終わるため、その後帰ってくることになるが、3日ほど家を空けることになる。

「す、すぐに戻ってくるし……もう遅いから――」
「ルーチェ」

また、だ……

ジュストの声が、いつもより少しだけ低くなって真剣な眼差しが痛い。

「僕、料理いっぱいできるようになったよ?」
「そ……だね」

ルーチェはジュストから視線を逸らして自分の爪先をじっと見つめた。

どうしよう。

「洗濯もできるよ」
「う、ん……」

どうしよう。

「マーレ語も、共通語も、全部読めるようになったよ。書けるようになったよ」
「す、すご、い……ね」

どうしたら――

ジュストがネコに戻ってくれるのだろう。このままではルーチェの心臓も持たないし、いろいろと危険な気がする。
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