金色のネコは海を泳ぐ
「キスは、ちゃんと“好き”じゃないとダメだから!」
「……?」

ジュストはその意味がよくわからなくて首を傾げたけれど、ユベールは言いたいことを言ってスッキリしたのか、サッサと扉を閉めてしまった。

「変なの……」

ジュストは小さく呟いて、また走り出した。

“好きじゃないとダメ”

ジュストはルーチェのことが大好きだからダメじゃない。

今日はいっぱいいろいろなことがわかった。

きっと、これでルーチェの婿になれるに違いない。

サラの婿であるユベールが教えてくれたのだから、絶対だ。

白く染まる自分の息は、ネコのときよりいっぱい息をしているみたいに見える。

来るときは軽かった身体は、人間の姿の今、重いけれど……大きい身体はルーチェのことを抱き締めることができる。

人間のジュストなら、ルーチェの婿になれるのだ――
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