金色のネコは海を泳ぐ
「ちょっと、オロ。今は貴方のダンスを見る気分じゃないの」
「にゃぁぁ」

ルーチェの言葉にオロは怒って低く鳴いた。そして――

ガプッ

「痛い!ちょ、ちょっと離して!痛い!ビリビリする!」

オロがルーチェの人差し指に噛み付いてきて、ルーチェは叫んだ。電流が走るような痛みに涙目になる。

「わ、わかった!踊ってたわけじゃないんでしょ!」
「にゃうん」

オロはペロリと自分の噛み痕を舐めるとベッド横の勉強机に乗り移った。

「もう……」

ルーチェは血が滲んでいる右手の人差し指に左手を当ててトラッタメントの呪文を唱えた。特に痛みもなく、傷が消えていく。

自分の身体を流れる波長には慣れているからか、自分への呪文治療は何も問題はない。

「にゃう~!にゃっ」

と、机の上でカリカリと音がしてルーチェは顔を上げた。

「あぁっ!?ダメ!」
「にゃぁ」

机に並べてある本の中からオロが前足で取り出そうとしていたのは、ルーチェのお気に入りの海の写真集。慌ててそれを取り上げて頭の上に乗せる。
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