金色のネコは海を泳ぐ
声を上げて笑うブリジッタをルーチェはジロリと睨む。そして、ブリジッタは笑い終わると薄っすらと浮かんだ涙を拭ってルーチェに向き直った。

「貴女、相当疲れていたのね。夢でも見たの?」
「夢じゃないよ!本当にこのボールが黄色くなったんだから」

頬を膨らませて言うと、ブリジッタは「はいはい」と適当な返事をした。

「黄色なら光属性ね。水属性のルーチェとは相性が悪いんじゃないの?」

クスクス笑って、ブリジッタは研修室を出て行ってしまった。

ルーチェはため息をついてクッキーを口に入れた。本当にオロはチャクラを練れるのに、アリーチェもブリジッタも信じてくれない。

光属性――ルミエール王国という海を挟んだ隣の国の国民が使う呪文属性。オロが泳いでいた海もルミエールとマーレの間にある。

ということは、オロはルミエールから泳いできた……のだろうか?かなりの距離だが、もし本当に呪文が使えるのならなんとかなるものなのかもしれない。

ルーチェは紅茶でクッキーを流し込んで立ち上がった。

鍛錬もうまく行かないし、オロのことも気になる。身が入らないまま鍛錬をしても時間の無駄だと思い、ルーチェは机を片付け始めた。

ふと、お皿にまだ2枚乗っているクッキーを見てそれを手に取る。

「オロ、食べるかな……」

オロは、ネコの餌を食べたがらない。拾ってきた日に買ってきた餌は、今もキッチンの棚の奥に眠っている。

ずっと、ルーチェと同じものを食べてきたのだ。
< 40 / 268 >

この作品をシェア

pagetop