金色のネコは海を泳ぐ
「あ、わ、わわわわ!きゃーーーーーーーーーーー!!!」

ルーチェはジュストを引き剥がし、放り投げた。突然投げ出されてジュストはベシッと、豪快に床に転がる。

「にゃうっ!」

毎晩一緒のベッドで眠ったり、抱きしめたりも……した。そりゃあもう、ぎゅうっと!ぎゅうっと……

オロも頬を擦り付けてきて、いつもスパルタだけどそういうときだけは可愛いなって思って。膝の上に乗せることも多かったし、頬に鼻を擦り付けてくることもあったし。

着替えだって、ネコだと思っていたから何とも思わずに――…

「わぁっ!ダメ!こっちに来ないで!」

ジュストがベッドに戻ってこようとして、ルーチェは両手を突っ張ってぶんぶん振りながら叫んだ。

『ルーチェ!しっ!アリーチェが起きちゃうよ!』
「だ、だって、だって!あ、あ、貴方、わ、わ、わわわわわ」

それでもベッドに軽く飛び乗ってきたジュストに、ルーチェは胸の前で両手を交差させる。

コレは貞操の危機というものだ!
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