恋の訪れ

ほんとに気分悪い。

やっぱり来るんじゃなかった。


頭もガンガンするし、耳鳴りもする。

ここに来たのは、ちょっとでもヒロ君の事を忘れられるかな、って思ったからで。


なのに余計に気分悪くしてどうすんのよ。


あの日以来、本当にヒロ君はあたしに話しなんてしてこなくて。

だから逆にあたしから話す事も出来なくなってた。


そりゃ、彼女が居るから話しちゃダメ、って思うんだけど…


「はぁ…」


深くため息を吐き捨てたまま、鞄の中から金平糖を取り出す。

瓶を上下に揺すると、カシャカシャと音をたてて色んな色が混ざり合う。


誕生日まで、あと4カ月か…


「ねぇ、一人?」


不意に聞こえた声に顔を上げると、2人の男が覗き込むようにあたしを見てた。


「…いえ、」

「でも何かつまんなさそうじゃん」

「……」

「なんなら一緒に遊ばね?」

「ちょっ、」


グッと突然引かれた腕に足が縺れそうになる。


「楽しい事しよっか」

「えっ、ちょっと!!」


辺りを見ると、誰も居なくて、勢い余って大声を出し手を振りほどこうとした瞬間、パリン…とガラスの音が耳を掠めた。

地面を見ると、金平糖の瓶が粉々になって割れている。


「えっ…」

「そんなのどーでもいいから来なよ」


言いわけないでしょ!

だって、これは…


その所為で痛む頭が朦朧とする。

やだ、倒れそう…

気分悪い…






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