恋の訪れ

「…離せよ、その女」

「は?なんだ、お前」


振り向くと、いつの間にか昴先輩が居て。

しかも面倒くさそうに…


「悪いけど、ソイツ俺の女」


はいっ!?

この場をしのぐ嘘の口実だとしても、余裕ありげに言ってる昴先輩が慣れてるとしか言いようがない。

誰にでも言ってる様にしか思わなくて、全然嬉しくもない。

だけど、助かった。って思ったのは事実。


「男いんのかよ、面倒くせ」


スッと腕が離れて男達は遠ざかる。

その少し赤くなった腕を擦りながら、


「ありがとう…」


とりあえず小さく呟いた。


「お前さ、もっと危機感もてよ」


そう言った昴先輩の声すら聞きとりにくくて。

頭が痛いから思わず顔を顰めてしまう。

左耳付近を擦りながら地面に視線を落としていくと、


「あっ、」


散らばった色とりどりの金平糖を見て、思わずしゃがみ込んだ。


「どうしよう…」


砂利と混ざり合っている金平糖を手で掻き集めて拾っていく。

手の平に砂まみれである金平糖をジッと見つめた。


「拾ってどーすんだよ」


昴先輩は同じ様にしゃがんで、割れた瓶を手にした。
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