恋の訪れ

タクシーに乗り込んですぐ俯く様に目を閉じた。

そのまま帰るルートすら覚えてなくて、気がつけばいつの間にか家に着いてた。


でも、そこであたしは変な違和感を覚えた。


あたしは…昴先輩に家を教えていない。

今まで教えた事なんて一度もなくて、そんな話しすらした記憶もない。


なのに昴先輩は家まで送ってくれた。


だからきっと物凄く変な勘が働いた。

お姉ちゃんとあたしが姉妹だって事。

だったら辻褄が合うって思った。


あの日。あたしがカラオケから帰ろうとした時、記憶のないまま家に帰ってたのは昴先輩が送ってくれたからであって、決してあたし一人で帰ったんじゃない。

そんな帰れるほど、足なんて動かなかったから。


だから昴先輩は、あの日から…

いや、もっと前からあたしの事を知ってたって事。


香澄先輩が言ってた。

昴先輩には気になる人がいるって。


もしかしてそれってお姉ちゃんの事なんだろうか。

頭もよくて美人で、あたしとは正反対すぎるほど全てが完璧で。


そんなお姉ちゃんに好意を抱く男は今までにも沢山いた。


なのに、そんな事聞けないこのもどかしさが複雑な気分だった。
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