恋の訪れ
「なんであたしが帰らないと心配するんですか?」
「何でって、危ないから」
「危ない?」
「そうそう。それにお前、早く寝ねーとまた倒れんぞ」
って言うか、18時には寝ませんけど。19時でも寝ない。
むしろその言葉で思い出したようなもんだった。
「そう言えば、この前、あたしが倒れた理由って知ってます?」
「は?」
「昴先輩が保健室まで運んでくれた時の事です」
「あぁ」
「あの時は、ありがとうございました。でも何で倒れたかって言うと、あの日、一睡もしてなかったんですよ」
「ふーん…」
「しかも、物凄い衝撃的だったんです。あの真夜中、昴先輩とお姉ちゃんを見たから…」
そう言って、昴先輩を見たのに、先輩は何も動じずに携帯を触り続けてて、「で?」と、その続きは何だ。と言わんばかりにあたしに視線を送った。
「これっ!昴先輩だったんですか?お姉ちゃんとどー言う関係なの?」
鞄の中から取り出した金平糖の瓶を昴先輩に見せつける。
その瓶に視線を向けた先輩はさっきまで触ってた携帯をポケットに突っ込んだ。
「だから、話は今度って言っただろ」
「嫌だ。あたし聞くまで帰んないもん。絶対に帰んない」
「つーか、お前の性格誰に似たの?葵ちゃんじゃねーだろ、諒也さんでもねーし」
「はぁ?ってか昴先輩だって、美咲さん達と似てないじゃん!偉そうな事、言わないでよ!美咲さん達が可哀想だよ!」
ちょっと、ここぞとばかりに大声を出してしまった。
その所為で昴先輩の表情が更に険しくなったのが分かる。