かわいい王子VS鈍感な姫
「家までちゃんと帰れるか?なんなら先生に車で送ってもらったらどうだ?」
「ありがとうございます。でも…親に迎えにきてもらうので大丈夫です。では…さよならっす!」
俺は体育館を出た。
本当は親に迎えにきてもらわない。
いや…迎えにきてもらえない。
俺の両親は共働きだから…。
嘘をついた理由は2つある。
1つは忙しい先生に迷惑をかけたくなかったから。
もう1つは一人になりたかったから。
俺の気持ちとしては『一人になりたかった』というほうが強い。
ただ…なんとなく一人になりたかったんだ…。
すぐ制服に着替え、家に向かう。
夏だから夕方でもまだ明るい。
汗も流れる。
部活で着るユニフォームとタオルと水筒と財布と…他に何かあるだろうか…
こういったものが入った決して重たくはないカバンを持ち、少しひきずりながらひたすら歩く。