綿菓子と唐辛子
今まで騒いでた奴らが、一瞬、しんと静かになった。
「ナ、ナツ…?」
「んー…」
「お前、もしかして、本気で相坂が…」
「……んー」
じっと俺を見つめる勇哉。コイツが言いたい言葉なんか、言われなくても分かってる。
知りたい かわいい しりたい
こんな言葉が並べられてできる感情は、きっとひとつしかない。
…今まで、知らなかったことだけど、なんとなく分かるんだよな。
「あいつが可愛いってこと、みんなが知る前にどうにかしたいって思ってしまう…」
「じゅ、重症だな、それは……」
「……」
あっけにとられてる勇哉。
俺は机に顔を伏せて、深く息を吐いた。
「もー…、やだ、俺キモイ」
「ナツ…」
「こんなキモイ自分、知らねーわ」
ヒメ。
最近、アイツのことしか、頭に入ってこない。
そして、アイツのことを考えるたびに、自分がなんとなく気持ち悪くなっていくことが、ぞわぞわする。