和風シンデレラ 〜煙管を掲げて〜
招待
カーノン様の家来……
遊び目当てでは無さそうだ。
ラメが入った黒いアイシャドウを
目尻に濃くいれて
真っ赤な口紅を塗る。
着物を何重にも着て帯を締め、飾りを帯や襟元に添えてゆく。
カーノン様の家来だから
遊び以外だと察し、
遅れてはいかず、準備でき次第部屋へ向かった。
家来がいるという部屋からは
三味線や唄が聞こえてきていた。
あたしは入り口の前に立ち
大きく深呼吸した。
いくら接客に慣れていても
部屋に入る前は緊張する。
どんな旦那様かわからないから。
あたしは背筋を伸ばし、胸を張った。
『失礼いたします』