和風シンデレラ 〜煙管を掲げて〜


そしてゆっくり襖を開けた。


『滝檎太夫の冷羅でございます。
今日はよろしくお願いいたします』


襖を開けたときから礼をしてるから
まだ顔を見ていない。


あたしはゆっくり顔を上げた。

どんなお方かな?





――――――!!




「……どうも。」


家来……旦那様は、
軽く会釈をしながら
にこりと微笑んだ。



…めちゃめちゃかっこいーじゃん!


あまりにもタイプに当てはまりすぎて自分でもびっくりした。


跳ね上がった心臓を抑えるように
あたしも少し微笑んだ。


旦那様は、隣に座ったあたしを
まじまじと見つめている。


あたしは声を出さずに首をかしげ
"何でしょう?"という風に伝えた。


「……あっ」

自分でも見つめていたことに気づかなかったのか
恥ずかしがりながら目を逸らした。

ふっ。かわい。
絶対慣れてないよ、こういうの。


笑いそうになるのを耐えて、旦那様を見つめた。



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