瀬々悠の裏事情
「色々と追いつめられてやすけど、与えられた仕事は必ず遂行するんで」
「そうだね。まぁ解雇されたらオルディネにでも来たらいい。私が推薦するよ」
「まじッスか。でも最近物騒ッスよね」
「思いのほかオルディネは目を引くようでね。あかね嬢はそれだけ魅力的なんだろう」
微笑みながらそういうアーネストは大して気に留めてないようだった。
普通なら仮にも頂点が危機に晒されている状況に警戒の姿勢を見せるはずだが、オルディネには異能社会において影響力の高い人物が少なからず所属している。
故に打てる手は既に打ってあるのかも知れない。
「そういや先輩があかねっちに会いたいらしくて、今度お昼でもどうかなって思ってるんスけど、アーネストさんもどうッスか?」
「それはいいね。とても楽しそうだ。予定が決まったら教えてくれるかな」
「はいッス!」
嬉しく頷いて、ふと振り返るとベランダにいる智昭が視界に入る。
「先輩遅いッスね。なに話してんだろ」
「混み合った話なのかも知れないね」
未だベランダで話し続けている智昭を二人で見つめる。
「……元気そうで良かった」
間を置かずして、アーネストが不意に呟いた。
「きっと君がいるからだろうね。見捨てないであげてくれると嬉しい」
「そうッスかね。というか俺が見捨てられるかもですけど」
「ふふっ。それはないよ」
笑みを零して断言すると、アーネストは立ちあがった。
「ごちそうさま。では私はそろそろ失礼するよ」
「早いッスね」
「これから予定があってね。近いうちにまた来ると伝えておいて」
「はいッス」
「可愛い後輩をよろしくね」
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