瀬々悠の裏事情

「あれ。先輩は?」

「帰りやしたー」

「そう……何か言ってた?」

「近いうちにまた来るらしいッスよ。あと可愛い先輩をよろしく頼まれやした!」

「全くあの人は……」


頭を抱える智昭。


「良い先輩じゃないッスか」

「どこが。適当に仕事任せて、人を振り回して、勝手にいなくなった人だよ」

「そうなんスか~?でも先輩のこと結構気にしてやしたよ。というか他の先代達にも可愛がられてたそうじゃないッスか」


空いた皿を片づけていた智昭の手が止まる。


「…三代目のこと聞いたの?」

「聞いたッス。先輩教えてくれなかったんで。割と変わった人達だったんスね」

「そうだね。良い人達だけど結構個性的だった気がする」


智昭は何か考え込んでいるかのような表情でそう答えた。


「もう聞くことはないと思うけど、三代目のことは先輩にもう聞いちゃダメね」

「えー。何でッスか」


瀬々は不満げに頬を膨らませる。


「もういないから。二人とも。どうしても気になるなら俺に聞いて」


さり気なく言われた言葉に一瞬顔の筋肉が引き攣った。
それと同時にアーネストが話題を変えた意図が分かり、どうやら立て続けにくだらない質問をしてしまったと内省する。


「気をつけやす」

「ん。それと話変わってテオちゃんのことなんだけど、それとなく様子を見といてくれる?」

「何かあったんスか?」

「いや……詳しいことは分かんないんだけど。さっきねねさんから頼まれて」


そう言って口元に手をあてて何やら考え込む智昭。
その様子から察するに彼自身もその意図を理解していないのだろう。


「ふーん……まぁ了解ッス」

「ありがと」


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