オレンジ
俺より早く猫娘が口を開く。
「あっれー。2人、別々に来たの?てことはぁ…けんか中?」
ほんとう、めんどくさい。
「なんでもないから。関係ないから。先生んとこ、早く行けば」
「えっー」
俺は猫娘に冷たく言った。
早く猫娘にはこの場から立ち去ってもらいたかった。
えーりが注目しているのは、猫娘が組んだ腕だ。
「いいから。早く」
猫娘の腕をむりやり放して、背中を軽く押してやった。
「きゃっ」
軽く押しただけなのに、猫娘は転びそうになって、俺の腕にまたしがみついた。
「いったーい」
「悪い」
「んもーぅ、しょーへくんったら。話が済んだら、手伝ってよね」
やっと猫娘は俺から離れて、職員室に向かった。
やれやれ、と腕のしわを直してえーりを見ると、
えーりは俺をにらみつけていた。