キミの風を感じて
「そんなに打ち込めるものがあるなんて、うらやましくて言ってるんだよ?」
わたしには何もない。
ただの劣等感のかたまり。
「そ-でもないって、紗百」
と高梨くんは言った。
「手ぶらでいるのも悪くないぞ。自由だし、いつでも身軽にどこへでも行ける」
「はぁ……」
「例えば俺はもうギターにハマっちゃってるから、今何かおもしろそうなことを見つけても、ギターを手にしたままじゃ何も持てないわけよ」
「う……ん」??
「ギターをとるか、そっちをとるか決めなきゃなんなくなる。で、ギターをやめる気はないから結局ほかのことには手を出せないのが現状」
ふーむ。
「同時進行で何でもこなすマルチなやつらも世の中にはいるけどさ、俺、そんな器用じゃないし」
ふむふむ。