闇夜に真紅の薔薇の咲く
最近いつもそうだ。

死神たちに会ってからと言うもの、やたらと奇妙な夢を見るようになった。

いい加減それにも耐性がついてきた朔夜は濃密なまでの闇の先に躊躇いなく手を伸ばす。



「……泣かないで」



絞り出した声は、やはり老婆のようで。

己の声に苦笑を零し、朔夜は手を伸ばした先をじっと見つめる。

少女が、何故謝罪の言葉を口にしているのか。それは朔夜には分からないけれど、どうしてか彼女を泣きやませないと、という使命感めいたものがわき上がり朔夜は安心させるように微笑を浮かべた。

最も、その笑みは少女には見えないだろうけれど。



「大丈夫だから」



ふと、すすり泣く声が消えた。

真っ暗な世界には静寂が帳をおろし、朔夜は目をぱちくりとさせる。

(……泣きやんでくれた?)

小首をかしげると、伸ばした手を誰かが掴む感触がした。

無意識に緊張していたのか、冷たくなった手を暖かいそれが包み込み朔夜は我知らず安堵の息を零す。




「……負けないで」

「え?」

「私が犯してしまった過ちは、深く暗く激しい。だけど、どうか、負けないで」

「……」

「ごめんなさい。本来ならば私の世で終わらせるべきだった罪を、苦しみを、あなたにまで……」



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