闇夜に真紅の薔薇の咲く
彼らは朔夜のことを“姫君”と呼ぶ。
けれど、彼女はもちろん姫君なるものでは当然ない。
ごくごく普通の女子高生である。
そのことを伝えなければと、勇気を振り絞り声を発した。
「――わ、私は、姫君なんかじゃない」
『何を御冗談を』
男性が呆れたような笑みを僅かに含んで胡乱気に言う。
彼らは朔夜を姫君と信じ切ってしまっている。
説得するのは、とても難しいかもしれない。
ため息をつきたい衝動にかられながら何とかこらえて、いつの間にか回らなくなった夜空を見上げた。
「冗談じゃない。私は本当にお姫様じゃない。普通の高校生よ」
分かって、と彼女は内心で訴える。
嫌な予感がするのだ。その嫌な予感を消すためには、彼らの間違いを正さなければいけないような気がした。
訴えるようなまなざしを空に向けると、姿の見えない者はくつくつと喉で笑う。
『あぁ。そう言うことですか。あなたは、まだ姫としては不完全なのですね』
「っ、だから! 私は姫じゃないって……っ!!」
『いいえ。あなたは姫です。我らが千年もの間待ち続けた、美しき姫』
けれど、彼女はもちろん姫君なるものでは当然ない。
ごくごく普通の女子高生である。
そのことを伝えなければと、勇気を振り絞り声を発した。
「――わ、私は、姫君なんかじゃない」
『何を御冗談を』
男性が呆れたような笑みを僅かに含んで胡乱気に言う。
彼らは朔夜を姫君と信じ切ってしまっている。
説得するのは、とても難しいかもしれない。
ため息をつきたい衝動にかられながら何とかこらえて、いつの間にか回らなくなった夜空を見上げた。
「冗談じゃない。私は本当にお姫様じゃない。普通の高校生よ」
分かって、と彼女は内心で訴える。
嫌な予感がするのだ。その嫌な予感を消すためには、彼らの間違いを正さなければいけないような気がした。
訴えるようなまなざしを空に向けると、姿の見えない者はくつくつと喉で笑う。
『あぁ。そう言うことですか。あなたは、まだ姫としては不完全なのですね』
「っ、だから! 私は姫じゃないって……っ!!」
『いいえ。あなたは姫です。我らが千年もの間待ち続けた、美しき姫』