闇夜に真紅の薔薇の咲く

胡乱気に声のした方を見ると、そこには声をあげて笑うルイがおり、彼は朔夜と視線が合うや否やに親指をたてて突き出す。





「あははは! 君最高!!」

「……は?」





何が最高なのか。





拍子抜けして怒りが収まってしまった彼女は、げんなりとしたようにルイを見つめていると、彼は深呼吸をすると目尻に溜まった涙を拭って、朔夜同様ルイの方に視線を向けていたノアールに目を向けた。






「ま、彼女が言うことも一理ある。だって、彼女は“生まれ変わり”なんでしょ?」

「あぁ」

「じゃあ、いきなり災厄の姫とか言われて殺されそうになって戸惑うのも仕方ない。
だって、彼女は記憶なんてないんだから」







唇に淡い笑みをのせて、彼はノアールを見つめる。






ノアールはしばらくルイを無言で見つめ、静かに目を伏せた。







「そうだな。……すまなかった」







あっさりと頭を下げた彼にまたもや拍子抜けした朔夜は、驚いたように目を見開く。





彼の手の中にあった大鎌はいつの間にか消え、それに少々驚きながら首を振ると「それにしても……」とルイがこちらを見て思い出したようにくすくすと再び笑いだした。







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