ダブルスウィッチ
「そういう問題じゃない!

約束を忘れたのか?外泊を許した覚えはない!」


殴られてもなお、飄々と言い訳をするえみりに、亮介の語気は荒くなっていく。


「じゃあ、約束を破ったらどうなるの?

離婚はしないっていうのも条件なんでしょ?

だったら、私が何したって別れるつもりはないってことよね?」


「なんだと!」


「あなたに都合のいい契約だと思ったのかもしれないけど、おあいにくさま

離婚されて困るのはあなたの方よね?出世に響くんだから」


そう、よく考えればわかること。


離婚しないという条件は、彩子にとっても武器になりうるのだ。


グッと言葉に詰まった亮介は、みるみる青ざめていく。


まるで離婚を言い渡されたかのように目を見開き言葉を失っている。


もっと早く彩子がそれに気づけば、あんなに追い詰められなくても済んだのにと、えみりは小さく息を吐いた。


「離婚するつもりなのか?」


弱々しい声が聞こえて見上げると、亮介がすがるようにえみりを見ていた。


「そんなことは言ってないわ」


「じゃあ……どうしたいんだ?」


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