ダブルスウィッチ
淡々と語られる亮介の本音に、えみりは戸惑う。


彩子の立場になれば許せない発言だけれど、えみりを応援してくれている事実は素直に嬉しかったから。


だけど、えみりはもう亮介を諦めると決めたのだ。


ならば、彩子のために何が出来るのか考えなくちゃならない。


「亮介さんの夢を……私だって応援してるわ?

だから今までだってあなたの言う通りにしてきた

家を守ってあなたが仕事に集中出来るように努力した

でもそれはあなたの言う契約に縛られてたからじゃない

亮介さんに喜んでもらいたくて……あなたの役にたちたかったから……

亮介さんを……愛してるから……だから頑張ってこれたの

なのにあなたは別の女性の夢を応援してるなんて……

私は……いったいなんなの?

家事をするためだけならお手伝いさんと変わらない!

それとも、私が夢を持ってたら、あなたは応援してくれた?

……愛してくれた?」


涙を流しながら、えみりは亮介に訴え続けた。


自分のことはもういいからと。


彩子を愛してあげてほしいと。


そんな願いを込めて……


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