ダブルスウィッチ
それでもネットを開いて最初に検索する癖がついてしまっているのは、彩子自身また違う自分になりたいという願望の表れなのかもしれない。


いつものようにそれを諦めると、今度はえみりのブログやホームページにアクセスする。


これもあれから毎日行っている日課だ。


逐一チェックして、亮介には会っていないことを確認する。


もうそんなことはないとわかってはいてもやめられなかった。


だから、彩子は嘘をついたのだ。


家族三人で仲睦まじい姿を見せつけ、幸せに暮らしているのだと。


あなたはあなたの幸せを見つけて欲しいと願いを込めて。


それは、本当にえみりの幸せを願っているのと同時に、2人を引き合わせないための彩子なりの策だった。


そして、亮介にも家族であるという紙の上での契約はきちんと残しつつも、本来の家族のようには生活しないことである程度の制限をつける。


そうすることで亮介は、妻としての役割を放棄されまいと以前よりもずっと彩子に縛られることになるのだ。


それは見事に功を奏して、今は彩子の思う通りに亮介は動いてくれる。


小さなえみりのためなら、彩子の願いも多少なりとも気を遣って聞いてくれるようになっていた。





ふと手を止めると、彩子の顔に自然と笑みが溢れた。


そう、これは彩子なりのささやかな復讐なのだ。


自分を虐げた亮介への、復讐。


そしてこれが、彩子の歪んだ愛し方でもあった。






END







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