イケメンSPに守られることになったんですが。


「……私だったら、気になる人のところにわざわざ異性を連れて行かないけどな」


「え?」



佐々木さんの優しい声に、思わず顔を上げてしまう。



「亮司が私に未練があるなら、他の女の人を連れてきたりしないでしょ。

変な誤解をされたら嫌だもの」


「……そうですか?」


「うん。それにね、私たちはお互いに見切りをつけて別れたの」



そうなの……?


亮司さんはただ、『自分の甲斐性がなかっただけ』って……



「あの人、突然人が変わったようになるでしょ?」


「二重人格のことですか?」


「そうそう。知ってるなら話が早いわ。

私、気が強いから、優しい亮司とは合ってたんだけど、リョウとはどうしても反発しちゃってね。顔を合わせるたびに喧嘩してた。

そのうち疲れちゃって、どうしてもリョウと合わないから別れてって言ったの。

そうしたら、亮司もじゃあ、仕方ないねって」



……大人どうしだとそんなものなの?


結婚まで考えた人と別れるのに、「仕方ない」って……。



「腑に落ちないって顔してる」



佐々木さんは私の前に置かれた冷え切ったコーヒーを、アシスタントさんに変えるように言ってくれた。


そして、とっくに思い出となった昔話を話すような優しい顔をして、鏡の中の私に言う。



「リョウはね、ああ見えて亮司にとって必要な存在なのよ。

彼の中の凶暴性と、理性の折り合いをつけてくれているの。

亮司が溜めて溜めて溜め続けたものを、リョウが小出しに解消してくれるから、彼は壊れずに済むの」


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