イケメンSPに守られることになったんですが。
「それにしても、どうして今までコレが仕込まれていることに気づかなかった?」
篠田さんが言いながら、私からマイクロSDを奪う。
「だって……あんまり使わないんだもん。
小説サイト見るだけで、写真撮ったりメールしたり、アプリをダウンロードして使うとか滅多にしないし」
「なんて寂しい20代なんだ……」
わかっとるわい。みなまで言うな。
篠田さんは呆れながらも、頭の中で色々考えているようだった。
「……とりあえず、返しておく。
公安が見つけたことに相手が気づいたら、またややこしいことになりそうだからな」
「発信機を彼女につけたままにするっていうのか?」
亮司さんが、篠田さんを非難するような目で見る。
「彼女自身にはついていないだろ。
ずっと自宅に置いておけばいいだけだ」
「えぇ~……」
スマホ依存症の私にとっては辛い宣告だ……。
使わなくても、持っていないと落ち着かないのに……。
「よし、これで用事は済んだ。
発信機が見つかったなら……次の作戦を立てやすくなる」
どうやら私の荷物検査が目的だった篠田さんは、メガネと手帳をしまい、飲みかけのコーヒーもそのままに、高浜家をあとにしようする。
「おい待て、次の作戦とはなんだ」
亮司さんが、その背中を追いかける。