イケメンSPに守られることになったんですが。


「私、別に篠田さんに縛られたいとか思ってませんけど……」


「……そうですか……それなら、いいんですが」



真面目な顔で言い返すと、亮司さんはハッと我に返ったような顔をして、手を離した。


もう、何を勘違いしてるのか……。


娘の彼氏に嫉妬するお父さんみたい。


それより……。


どさくさにまぎれて『ちょっとかわいくなった』って、言ったよね?



「なに笑ってるんですか」



ひとりでニヤニヤしていると、まだむっつり顔の亮司さんにツッコまれた。


しかし次の亮司さんの言葉が私の胸を一気に冷却する。



「いいですか、あなたはもっとたくさんの男を見た方が良い。

それで、本当に自分に合った人を見つけなさい。

あなたを大事にしてくれる人を」


「え……」


「そうして、幸せになるんですよ」



ぽんと私の頭を軽くたたいて、亮司さんはリビングに戻っていく。


なにそれ……。


すごく、他人行儀な言い方。


『自分には関係ないけど』って、言われたみたい……。



「……亮司さんは……?」



ちくちく痛む胸を押さえて、亮司さんを追いかける。


すると亮司さんはキッチンでプロテインの袋を持ったまま、短く答えた。



「言ったでしょう。

俺はひとりで生きるのがあってるんです」


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