イケメンSPに守られることになったんですが。
キョロキョロしていると、和也から予想外の提案がされる。
『お前一人で、移動しろ』
「え……っ」
一人で?
会話を聞いていた大西さんも、眉をひそめた。
『ああ……ちょっと待て。
やっぱり、その弱そうなSPは一緒に来てもいい。
どうせ公安が近くで見張ってるんだろ?
SPと離れたら、すぐに勘付かれちまうもんな。
SPに無線機を近くのゴミ箱に捨てろと伝えろ。
無視するなら、今すぐ攻撃するぞ』
「……クソッ!」
私が伝えるまでもなく、大西さんは手早くイヤホンと袖に隠していた無線機を外し、近くにあった自動販売機の横のゴミ箱に放り投げた。
『お前も何かつけてるなら、今のうちに外せ。
あとから見つけたら即刻殺すぞ』
そう言われて、私もイヤホンを外した。
さあ、どうする……。
周りでどれだけの人が見張っているか、その中に篠田さんと連絡が取れる人が何人いるのか……。
全くわからない状況で、あっさり私たちは不利になってしまった。
『よし……じゃあ麻耶、俺たちの思い出の場所に来い』
「思い出の……場所?」
『白いシフォンケーキの店だ。思い出せ』
白いシフォンケーキ?
なんだそれ……。
大西さんが心配そうに見守る中、必死に記憶を探る。