イケメンSPに守られることになったんですが。
……やがて、手繰っていた糸が何かに引っ張られる感覚が頭の中で起こった。
「……わかった。今から行くよ」
私は歩き出す。
その横を、大西さんが付いてくる。
思い出の場所だって……バカじゃないの。
あれは去年の私の誕生日……あんたは私を放って、パチンコに行ってた。
『大当たりした!』
って喜んで帰ってきたときには私はすっかりいじけていて、返事もしなかった。
その次の休み、あんたはその大当たりしたお金を持って、この町へ私を買い物に連れてきてくれた。
そうだ……。
そうだったんだ。
記憶って怖い。
私はてっきり、自分が頼み込んで和也に一緒に来てもらったものと思い込んでいた。
そうじゃなかった。
あの日だけは、和也が私を引っ張ってくれたんだ。
結局無難なアクセサリーを買ってもらって、歩きつかれた私たちは適当に近くにあったビルの2階に入っていたカフェに入った。
そこはシフォンケーキと紅茶の専門店で、コーヒー派の和也は文句を言いながらも、私が米粉を使った白いシフォンケーキにイチゴのソースと生クリームが乗ったものを注文し、
『なんか色からして可愛いよね!
食べるのもったいないなあ』
と言いながらもぱくぱく平らげていく姿を見て笑ってた。