イケメンSPに守られることになったんですが。


「ちょ、そんないきなり!」


「しょうがないだろ、リョウにやられっぱなしでずっと気分が悪かったんだ!」



抵抗しようとした私の両手を片手で頭上に縫い付けて、亮司さんはすねた子供の顔で言う。


行動と顔があってませんからー!



「って……そういえば、リョウさんは……?」


「うん?」


「リョウさんは、今のこれ、見てるの……?」



そう思うと恥ずかしいんですけど。


でも亮司さんは私の戸惑いとは別の、寂しさみたいなものを顔に表した。



「……リョウは、消えた」


「……はっ?」


「いくら呼んでも応えなくて、正直どうしてしまったのか、俺にもはっきりとはわからない」


「えっ、えええ!?」



リョウさんが、消えた……?


だから山荘に助けに来たとき、ずっと亮司さんだったの?



ぽかんとしていると、亮司さんが口を開いた。



「麻耶と会ってから……俺たちの間の境界が、急激に薄れていくような気はしてた」



境界……。


そういえば、ときどきリョウさんが亮司さんみたいな顔をしたり、その逆のこともあった……。


あれはお互いの人格の境界線が、だんだん薄らいでいたということなの?


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