イケメンSPに守られることになったんですが。
「そういえば、スマホは……」
完全に暇な私は、スマホを取り出す。
いつものようにCherry's Cafeにアクセス。作家メニューをタップ。
「…………」
私はスマホをテーブルに置いた。
作品に誰かがコメントを残してくれたりすると、画面の上部に『コメントが1件あります』と表示されるのだけど、今日はナシ。
つまり、昨日退社したときから、一つもコメントが入っていないことになる。
作品を更新していないのだから、当たり前っちゃ当たり前だけど。
ちょっと、寂しい。それが本音。
「電話ですか?一応どこへ連絡するか教えてくださいますか?」
高浜さんが今さら声をかけてくる。
「……ネット見ただけです」
私は無愛想に答えた。
突然私が住所不定無職になっても、心配する人はいない。
両親は物心付いた時にはいなかった。
私は里親に育ててもらったけど、高校を卒業する頃になっても、実の両親は迎えに来なかった。
だから、卒業と同時に家を出て、一人で住んでいる。
里親の家はその家の本当の子供達がいて、私のいる場所はなかった。
子供達って言っても、皆もう成人しているけど。