イケメンSPに守られることになったんですが。
どきどきと、心臓が痛いくらいに鳴る。
『こちらとしては、警察の指示に従います。
とりあえず、発売は延期ということで』
「すみません……」
『いえいえ!事件が解決したら、発売できると思いますから』
米田さんの言葉は私を安心させる反面、不安にもした。
やっぱり事件が解決しなきゃ、発売してもらえないんだ……。
『では、また何かありましたら連絡しますので────』
意外にあっさり、米田さんは電話を切ってしまった。
他の作家さんのお世話もあるのだから、私だけにかまっていられないのは当然だ。
だけど……。
「くそう、いいなあ、出版者勤め!」
私は寂しさを紛らわせるため、わざと大きな声を出してみた。
その声は広すぎる部屋に反響して、余計に自分の小ささを浮き立たせるだけだった。
「…………」
どうしよう、どうしよう。
仕事はないし、小説の更新はできないし、私はいったいどうしたら……。
また無意識のうちに爪を噛んでいると、テーブルにことりと、白いカップが置かれた。