イケメンSPに守られることになったんですが。


「あ、ありがとう……嬉しいです」



じわ、と涙腺が緩むのを感じた。


作品をほめられるのは、何より嬉しい。


この人、良い人だ。


もう一人は最悪だけど、こっちの高浜さんは、とっても良い人だ。



「俺にはない才能だから、羨ましいですよ」


「お世辞は結構です……私は公務員になれる頭がある方が、よっぽど羨ましいです」


「ん……でも俺は、キャリア組と違って、地方公務員なんで。
そんなに頭は良くないですよ」



嘘だー。地方公務員だって、皆がなれるわけじゃない。


それにSPは英語とか話せなきゃダメだって、聞いたこともある。


だけど高浜さんは、恥ずかしそうに笑って言った。


「俺は頭の中がね、ちょっと複雑なんです。
解離性同一症って、わかりますか?」


「……解離……?」


なにそれ?初めて聞いた。


「いわゆる、二重人格のことです。

あなたにはすでにリョウを見られているので、説明させてもらえますか?

その方が、今後混乱が少なくて済むと思います」



高浜さんはそう言うと、備え付けのメモ帳とボールペンをテーブルの上に置いた。






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