イケメンSPに守られることになったんですが。
一枚の紙のなかに、二本の木。
一本の木は地面が書かれていなくて、ふわふわ空中を漂っているように見える。
葉っぱは少なく、実もついていない。
寂しい印象の木だった。
そして、その横にもう一本────。
木を上から見たような、葉っぱだけの絵があった。
「なんで、二本……しかもこれ、空から見た木みたい」
「そう、俯瞰(ふかん)で見た木ですね」
「…………」
「これが、俺の頭の中です。
これを描いて、色々なテストを受けて、俺は多重人格障害と診断されました。
6歳の時の話です」
6歳───。
それはまだまだ幼くて、『自分』さえも確立していない時期だ。
そんなときからだなんて……。
「そうなった理由や、今までの経緯は省きます。
今の俺の頭の中を簡単に描くと、こうなります」
高浜さんは、メモ帳を1枚めくり、新しい絵を描き始めた。