地方見聞録~人魚伝説譚~






 では何故リンにレトの居場所を聞いたのだろう。我ながら末期かもしれない「ヨウ殿」





「どうじゃ、村の生活は」

「だいぶ慣れました。レトにも村の方にも良くして貰っています」





 部屋から出てきたエノヒが、己の隣へ。






「――――ここの海はひどく悲しく寂しい」





 そうか、とエノヒは頷く。


 今も残る人間と人魚の話しから、エノヒもある程度考えるものはあるだろう。
 私は続ける。






「昔のように共に生きていける日を私は見てみたい」





 こけに来るまでは、人間と人魚は共に生活しているのは普通だと思っていた。それでも人間と我らは違う。一線がある。






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