わたくし、政略結婚いたします!?
「クッキー。……何か作ったらまた食わせろよ」
「え、ええ……」
戸惑いながらもコクン、と頷くと、私の身体に回っていた腕がするりと解かれた。
だけど身体が離れても、ドクンドクン、と大きく鳴る心臓はその動きを弱めようとはしなくて。
「じゃ、じゃあ私行くわね」
「ああ」
振り返って言うと、思った以上に小さい声になってしまったけれど、レナルドは微かに微笑んで頷いてくれた。
……どういう風の吹きまわし……?
なんで、今日はこんなに優しいの……?
そう思っても聞く勇気なんかなくて、私は逃げるように部屋を出て自室に戻った。