わたくし、政略結婚いたします!?
「どうしたの……?」
「嫌なら、拒め」
「え……」
ゆっくりと、もう片方の手が伸びてきて、優しく私の頬に触れた。
「っ」
指先が頬から唇まで滑って、人差し指が唇に触れた瞬間、身体がびくりと竦んだ。
なんだか怖くなって、キュッと目を閉じる。
ドキドキと、心臓が早鐘のように打っていて、どうしたらいいのか分からない。
柔らかくて熱を持ったものが閉じた瞼に触れて、恐る恐る目を開けると、それがレナルドの唇だと気が付いた。
唇に触れていた指はいつの間にか顎に移動していて、私の瞼に触れた唇が、ゆっくりと頬を滑った。