わたくし、政略結婚いたします!?


……ウィルのことは、どうしても悪い人には見えない。


だけど、嘘を吐いたのは事実で。


だから、私は一体ウィルが質問にどう答えてくれるのか全然見当がつかなくて、不安なままウィルを見つめた。


彼はしばらく考え込むような表情をしていたけれど、やがてひとつ息を吐いて。




「知っていたよ」



と、にっこり笑って言った。




「……じゃあどうしてレナルドがチョコレート味が好きだなんて嘘を吐いたの?」



あっさり肯定したウィルに戸惑いながらも、私はそう訊ねる。


するとウィルは笑顔を崩さないまま、私をまっすぐ見据える。


そして、


「からかっただけだよ」



なんて、悪びれもなくいうものだから、私は更に混乱した。


どうしてそんなことができるのか、どうしてそんなことをするのかが分からなくて。

< 160 / 260 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop