わたくし、政略結婚いたします!?
一瞬戸惑ったけど、ウィルがしたことを考えたら、私がウィルを嫌うことなんてレナルドにも分かるわよね。
ウィルが冷たい目をしていることにだって、レナルドが気付いていないはずがないし。
「きゃ、きゃあっ!?何をしてらっしゃるんですか!?」
先を歩いていたメグが、厨房をのぞいて動転したように声をあげ、私とレナルドもいそいで厨房に駆け込んだ。
目に飛び込んできた光景に、私は思わず掌で口を覆う。
私の脇をすり抜けて、レナルドが厨房に入っていった。
向かい合うように置かれた二つの長い作業台の間に立っていたウィルの腕を掴むレナルドを、私とメグは呆然と眺めることしかできなかった。
……レナルドとウィルの足元には、無残なケーキの残骸。
あんなにたくさん作ったのに、作業台の上に残ったきれいなままのケーキはもうほとんど残っていなかった。
「……なにしてるんだよ」
低い声で訊いたレナルドは、それだけで怒りがこちらに伝わってくるほどだった。