わたくし、政略結婚いたします!?
「はじめまして。きみがアリア嬢だね。僕のことはウィルと呼んで」
そう言ってにっこり笑ったウィルに、私は少し戸惑いつつも微笑み返した。
「彼はレナルド様の従弟に当たる方です」
先生の説明に、道理で少し面影が似ているわけだと納得した。
「……そうなの」
それで、レナルドの従弟さんがどうしてここに?
そう思ったのが伝わったのか、ウィルはスッと立ちあがって私の手を取り、
「きみの練習相手を頼まれてね」
笑顔を崩すことなくそう言った。
「頼まれたって、誰に?」
「そんなの、レナルドにきまってるじゃないか。僕と彼は背格好も似てるしね」
「本当はご自分が練習相手をしたいと思ってらっしゃるでしょうけど、なにせお忙しい方ですからね」
ウィルの言葉に先生も優しく微笑んでそんなことを言う。
……あいつ、そんな気が利く男だとは思えないけど。