あたたかい雪
言いながら乱暴に靴を脱ぐと、昌彦は勝手に奥へと進んで行く。


何やら前屈みのおかしな姿勢でだ。


いまさら遠慮しあう仲でもないが、昌彦の勝手で不自然な態度に、美穂は少しばかりの腹立たしさと不可解さを覚えた。


「ねえなんなの? 来るのはいいけど、今日のマサ、何か変だよ」


玄関の扉を閉め、靴を揃えてから後を追うと、昌彦は窓にぴたりと張り付くようにして、外の景色を眺めていた。


「そうか? それよりいい眺めだよな。美穂のことだから、今日は一日中外を眺めていよう、なんて思ってたんじゃないか?」
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